ばいおりんたちの学校

大阪市中央区谷町のバイオリン教室

いくつかの短いお話 ダニエル・コビアルカがやって来る!vol.2

 ダニエル・コビアルカがやって来る!vol.2

 

(1999年筆)

ヒーリングコンサートの企画開始

「さあ、どんな企画にしようか。」 今秋にダニエル・コビアルカが来日することが決まった。そして友人がそのイベントを企画し、私はそれを手伝うこととなったわけだ。ダニエル・コビアルカといえば、ヒーリング音楽はもとより、ボランティア、福祉というイメージが強い。今回の来日もそうだが、「少しでも多くの人に音楽にふれる機会を」というコンセプトで、ダニエルは各地を飛び回って、ヒーリング音楽を広めることに従事している。友人は今回限りのイベントにしてしまうのではなく、ダニエルのイメージを生かしたイベントにしていければ、1つのムーブメントになるという考えだ。そんな話を聞いて思い浮かんだのが、私自身も籍をおく福祉のオーケストラ「まごころ」のことだった。

管弦楽団「まごころ」とは

「まごころ」とは日本で唯一の福祉の管弦楽団で、コンサートに出向いて行けない盲導犬を連れた人や車椅子の人達のために、福祉施設で出前の音楽会をひらく等の活動をしている。代表である仲川氏も幼い頃から足が不自由で、団員の中にも障害をもった人が数人いる。

楽団との共創

近所の喫茶店で何気なく手にした雑誌に、この「まごころ」の記事を見つけ、何かピンとくるものがあって、その場で問い合わせの電話をしたのが、1、2ケ月前のこと。自らの意思Photo_32  というよりは何かに動かされているような感じがしていたのを覚えている。早速、団長である仲川氏に連絡を取る。「まごころ」は、ほんの数週間前に初の自主コンサートを開催したばかりだった。仲川氏の仕事が終わるのを待って、私と友人は彼に会いに行った。仲川氏との話は盛り上がりをみせ、氏の青春時代、恋愛話、そして結婚話にまでも花が咲いた。

管弦楽団「まごころ」のコンサート創り

「まごころ」は、結成8年目で自主コンサートをひらき、数百人の観客を動員するまでになった。これに関しては予想以上に大変なことだったらしい。私はコンサートを観に行くことはあっても、企画する側にまわるのは全くの素人。仲川氏の言葉は一言たりとも漏らさずメモをとる。聞いて驚いたことに、1番の苦労は会場探しだったとのこと。「まごころ」という任意団体では、単独で会場を押さえることができず、すべて仮押さえのかたちを余儀なくされたという。その上に公的団体からの問い合わせが入ると、そちらの方が優先になるらしく、コンサート数ヶ月前になっても、会場の本決定ができないありさま、そうなると営業・宣伝といった次の段階へ進めない。会場を本格的に探し始めて数ヶ月、相次ぐキャンセル・トラブルに頭を悩まされた仲川氏。彼は自分の経験談を通じて私たちにコンサートのイロハを教えてくれた。

響育の交響楽の宴・共創

仲川氏曰く「せっかくダニエルを迎えるだから、ただのコンサートにしてしまわずに、彼の持ち味を十二分に出せるものがいいのでは。11月という季節、オーケストラにとってかなり忙しい時期である為「まごころ」としての正式共演は不可能だが、有志を募っての参加というのは可能だよ。」 しかも、仲川氏自身は「まごころの代表というスタンスで手伝いたい。」と言ってくれた。何とも有難く心強いお言葉。やったぁ、繋がった。とっても気持ちのいい時間が過ごせた。後は今後の企画が順調に遂行sれるのを祈るのみ。ダニエルを迎えて、「まごころ」の協力を得て、福祉祭りの一大ムーブメントを起こしたい。その願いの第1歩は確実に進んだ。

 

(DE創刊準備号マイナス1号 1999年6月1日発行)