ばいおりんたちの学校

大阪市中央区谷町のバイオリン教室

いくつかの短いお話 ダニエル・コビアルカがやって来る!vol.3

 ダニエル・コビアルカがやって来る!vol.3

 

ヒ-リングバイオリニストとして名高いダニエル・コビアルカ氏が今秋来日し各地でコンサートが開かれる。イベント屋の友人と私は『 ダニエル in 大阪 』の企画を進める。

さて問題の会場探し。こういったコンサート企画に関して素人である私と友人は『まごころオーケストラ』の仲川氏に相談し、そのイロハを教えていただいたわけだが、仲川氏の助言は外れず以外とこれが手間どった。

大阪市内で交通の便がよく収容数の大きなホールを探し始めた。最初のうちは「新しくてきれいなホールがいいなぁ。」という贅沢な具合に。ところが全く見つからない。

11月の日曜日は、どこもかしこもコンサートラッシュ。それくらいは知ってたものの、ここまでだとは思ってもいなかった。大抵のホールは1年か1年半前から予約開始で大抵その日の内に決まってしまうとのこと。大阪市外ヘ、収容数を下げて、と範囲を広げ電話を片手に問い合わせを続けるが、全くダメ。「このままホールが見つからなければ一体どうなるのか。」と困り果てた私はこのイベントの企画者である友人に現状を報告・相談した。

 

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大阪に『道芸団パラディー』という彼が団長をつとめる大道芸のチームがある。今や団員数40名を超える彼らも1996年設立当初はお祭りやフリーマーケットで風船を販売するという活動がメインだった。

その頃、彼らは奈良の大和高田のさざんかストリートと知り合う。さざんかの代表である笹岡氏は、商店街の活性化のためフリーマーケットを企画中だった。笹岡氏は、従来の『家庭の不用品リサイクル』といったものではなく、パフォーマンスがあったり芸術作品が並んだりといった新しい『アートマーケット』を計画中だった。そこでパラディーは、ピエロパフォーマンスをして風船を販売したり、商店街の中をパレードしたりと、それ以来4年間皆勤賞のお付き合いとなったらしい。しかしながら当初の笹岡氏の計画通りにはなかなかならず『不用品マーケット』の感が強いのが現実。

そのさざんかストリートに隣接して『さざんかホール』がある。そのホールでダニエル・コビアルカのコンサートを開き、フリーマーケットを同じ日に開催してもらえば、笹岡氏の当初の意向である『アートフリーマーケット』は実現する。そして今回のイベントを機に、年1回定例の福祉の一大イベントにしていければ、というのが友人である企画者の提案だった。

「なるほど。」ことごとくあいている会場に巡り会えなかった私は、心気一転ダメモトで『さざんかホール』に問い合わせてみた。このホールは新しく設備も整い、収容数も1000人を越える立派な会館だ。問い合わせてみると、ナントッ! 11月の希望するこの日曜日だけ、まだ予約が入ってないとのこと。「やったあ。」    

つづく

(DE1号掲載 1999年7月26日発行)