いくつかの短いお話 ダニエル・コビアルカがやって来る!vol.1
ダニエル・コビアルカがやって来る!vol.1
(1999年筆)
ある晩、ミーティングをしていた時のこと、深夜になっても話し合いは続行中。そのとき誰かがBGMを変えたのだが、やさしい感じのするいい音楽。長時間の疲れも、この曲のおかげで随分和らぎそう。だが「和らぐ」だけではすまされなかった。5分とたたない内に、誰からともなく言葉が無くなり、私もその1人であったため、その時の様子を事細かく記すことができないが、見事に全員が寝てしまった。
そして、その曲が終わると、まるで目覚まし時計でも鳴ったかの如く全員が起きた。「私は寝てしまったの?でも自分だけではなさそう」という訳。日を変えてもメンバーが変わっても、その曲が流れると同じ現象が起こるので「今後ミーティング中は、この音楽をかけるのはやめよう」ということが決定してしまったのだ。ちなみに、この曲は「カノン」。
先日イベント企画をしている友人から「今度ダニエル・コビアルカのバイオリンコンサートをプロデュースすることになったんだ」との話。申し遅れたが、かく言う私も、日本ではないにしても大阪有数(?)のバイオリニストである。「ん~、『ガイアシンフォニー』に出てた人だったっけ」程度は知っていた。が、バイオリニストはそれではいけない。彼について調べてみると、あの「カノン」は、彼の演奏だった。恐るべしヒーリング音楽。「音楽には人々の心や体を癒す力がある」このダニエル・コビアルカの有名な言葉は、彼の若い頃の「気づき」であった。
1943年アメリカ生まれの彼は、幼少よりバイオリンを始め、数多くのコンクールで優勝、「サンフランシスコ交響楽団」の首席を20年務め、98年の長野五輪ではオーケストラとして来日。80年には自社レーベル「リセムエンタープライズ」を設立、ここから彼は「ヒーリング音楽」を本格的に手掛けることになる。
『ガイアシンフォニー』での功績etc.語りたい事はまだまだあるが、これは次回書くとして、今年の11月に彼が大阪に来る。私はイベント屋である友人の企画を手伝うことになり、バイオリニスト冥利につきるというわけだ。ダニエル・コビアルカの心安らぐ音楽を迎え、どんな響き合いのイベントになるのか、乞うご期待。
(DE創刊準備号マイナス2号 1999年5月1日発行)