ばいおりんたちの学校

大阪市中央区谷町のバイオリン教室

いくつかの短いお話 第2回フラメンコ文芸賞受賞

 第2回フラメンコ文芸賞受賞 

 

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2000年夏の第2回フラメンコ文芸賞に ペンネーム小林志穂で応募したエッセイ 「フラメンコ」 が受賞。
連絡が届いた時は、本当に嬉しかった。学生時代の入試に合格した時よりもかなり。

 

最優秀賞も優秀賞も該当者なく、私を含め3名が佳作に選ばれた。

審査員は、逢坂剛氏、濱田滋郎氏。

 

2000年7月20日発行の 「PASEO FLAMENCOパセオフラメンコ」 増刊号に、掲載。

たかが5~6年前の物とはいえ、過去の文章って、しばらくぶりに読むとすごく恥ずかしい。
表現が幼稚で、言い回しも、単語も、すべて書き換えたい箇所は、たくさんあるものの、あえて当時のままで加筆、訂正せず。

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[予備選考通過作品の評価]

◆小林志穂 『フラメンコ』 について

逢坂 「これは枚数の制限のこともあるけれど、私としてはむしろ一番最後の話が終わった後の話を読んでみたかったですよね。ということは、この段階でも非常に面白くて、フラメンコに初めて出会った音楽家――バイオリニストでしたか――の感覚が非常によく書けている。パートナーのキャラクターもいかにもフラメンコをやっている女の子らしくて非常に面白かったですね。ただちょっと尻切れトンボで、この先を読んでみたいという気持ちが強いんで、その辺がマイナスなんだけれども、相対評価として私は一応○をつけておきます。

濱田 「逢坂さんがいわれたように、これはクラシック一辺倒に育てられた人がフラメンコにふれての驚きとか、そういうものが自然に書けていて面白いと思います。ただフラメンコギターの人と一緒にストリートミュージシャンやっているというその動機というか、そこで何をやりたいのかということが分からない。創造力に燃えてやっているのか、面白い体験だからやっているのか、その辺がちょっと曖昧なんですね。それとインド音楽とか絶対音感のこととか書いているんだけど、それが並列的になってしまって核心がボケているという感じがある。もうちょっと書くことをしぼるというか、メリハリをつけて欲しかった。ノンフィクションの書き方のテクニックがちょっと足りない。ノンフィクションの候補2作の中ではこちらを上に取りますけど、評価としては○ダッシュですね。」

 

 

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[受賞作決定]

濱田 「佳作以上に値するのが、この4作ですか。」

逢坂 「ここから最優秀賞を1作選ぶというのは至難の業ですね。前回に比べて全体の水準は上がったし、テクニックは巧くなったけど、自分の思いを伝えるという熱気が前回より低くなった感じがするんで、最優秀賞に値するものが見当たらない。今のフラメンコの状況をよく表していますよ。みんなフラメンコをやりだしたけども、どうもガリガリになってやる人というのは逆に少なくなっている。ただきれいに優雅に踊りたいという、そういう状況をそのまま今回の応募全体が表しているように思えた。」

濱田 「そうですね。1本だけ選べませんね。」

逢坂 「ここで私と濱田さんが1本ずつ選んで、それを優秀作にして、残った2本を検討して佳作にするかどうかというのはどうでしょう。私は○をつけた 『フラメンコ』 を推したいと思うんですけどね。」

濱田 「私は 『フラメンコ』 か 『コラソン』 なんですが、肝心なところをもう少し突っ込んで書いて欲しかったというところはありますけども、一応文章が書けているし、小説として読めるという点で、『コラソン』 にします。しかし、どちらの作品も他との比較でいって突出したということではないし、優秀賞というところまではいかない気がしますね。せいぜい佳作どまりで。」

逢坂 「感覚的にはそうですね。しかし佳作4本となると多いな。佳作だけだったら3本にしてもいいでしょう。」

 

濱田 「そうですね。優秀賞が3本というわけにもいかないでしょう。だったら他にも佳作にあげたいものが出てきます。」

逢坂 「残った2作 『島へ』 と 『セビーリャの花』 の比較では、私はどちらかというと 「島へ」 を買います。」

濱田 「そうですね。私も 『島へ』 です。 『セビーリャの花』 は誰でも書こうと思えば書けるレベルだけど、 『島へ』 はそうともいえない。」

逢坂 「 『島へ』 のほうが小説的なドラマ性がある。どちらかを落とすんだったら 『セビーリャの花』 を落として、佳作3本でいいんじゃないかと思います。」

濱田 「私もそれで別に異義はありません。」

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総評●逢坂 剛
今回の応募者の中に、本格的に作家を目指す人はいないと思う。そういう人たちに対して、あまりに厳しい批評をしすぎたかもしれない。しかし、文章表現というものは本来的に、それに耐えなければ残らない運命にある。こんなことにめげずに、また次の機会があるのなら、果敢に挑戦していただきたい。

総評●濱田 滋郎
最終選考会での発言は、我ながらかなり厳しいものになったかと思う。「第1回」の優勝作に比べ、文章、内容とも、いま一歩と感じられる作ばかりだったせいか、ともあれ基本的には、応募された方がたが、指定された枚数の範囲内で精一杯に努力を傾けられたことは、間違いなく選者に伝わってきた。ぜひ、更なる向上の鍵を発見され、次の機会には秀作ばかりで選者が頭を抱えるほどになることを期待したい。何よりもまず「自分の目でものを見る」ことを培われよ!